日々読チョイス

好きな本をメインに、ゲームアプリ、スイーツなど、オススメしたいものを紹介していきます。

伝えることの難しさと素晴らしさ

物事を伝えるとき、大切なことは何だろうか。
大切にしなければならないことは何だろうか。


今回紹介するのはこちらです。
クライマーズ・ハイ』著:横山秀夫


映画化もされたので、ご存じの方も多いと思います。実際に起こった、飛行機の墜落事故を元に書かれています。

1985年8月12日。
御巣鷹山日本航空のジャンボジェット機が墜落。
地元・群馬県の、北関東新聞社に勤める悠木和雅は、この事故の全権デスクに任命されます。
今までにない大きな事故を、報道としてどう扱っていくべきなのか、どう向き合っていくべきなのか。
時を同じくして、その日、一緒に山を登る予定だった同僚が、病院に運ばれたと連絡がきます。
彼は何故倒れ、何を伝えたかったのか。
現場を踏んだ記者、事故の遺族、社の上層部・同僚、自分の家族。
様々な人の想い思惑が悠木を襲います。
その中で、悠木がたどり着いた答えとは。


内容から、堅苦しいものを想像する方もいると思います。確かに、専門的な話も出てきます。しかし、読む気力が失せる、事実や数字の羅列はありません。
事故そのものよりも、事故に関わった人々に焦点をあてているので、物語に入りやすいです。また、新聞社でのやり取りがメインなため、そのスピード感や臨場感に引き込まれていきます。
事故から17年後の話も随所で組み込まれていて、読む人を飽きさせません。これが、事故当時の悠木の想いをより深く理解できる、良いアクセントになっています。

読みながら何度も涙が溢れました。
何かを一生懸命頑張っている方には、刺さる部分も多いので、ぜひ読んでみてほしいです。



【私の勝手なセールストーク
横山さんの作品、大好きです。好きすぎて、どれを紹介しようか迷ってしまいました(そのうち全部紹介したいです!)。
悩みに悩んで、ミステリーとは少し毛色の違う、こちらをチョイスしてみました。

報道のあり方について、疑問に思ってることがあります。大きな事件・事故が起こると、お祭り騒ぎみたいに伝えることとか。自分達に都合のいいことのみを寄せ集めて、さも唯一の正しいことであるかのように伝えることとか。

この作品は、「報道とは何か」さらに大きな「伝えるとは何か」ということを、深く掘り下げています。
正しく伝えることって難しいですよね。言葉が足りなかったりとか、照れ隠ししちゃったりとか、一方的に思い込んでいたりとか…。
伝えられた側が、どんな風に受けとるか考えないといけないし。考えていても、伝えられた側の、今までの体験とかその時の気持ちとかで、受け取りかたは変わってしまうし…。
さらに報道の現場だと、利権とかお金とか、熱意だけではどうにもならないこともあるでしょう。
そんなことも、考えさせてくれる作品です。

横山さんの小説は、どの作品も、込められている熱量が凄いです。だから、心を揺さぶられるのでしょうね。私は揺さぶられすぎて、何度読んでも泣きます(笑)。本当にオススメです。

クライマーズ・ハイ (文春文庫) [ 横山 秀夫 ]

価格:836円
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感想(82件)


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