黄泉の国へ至る坂
一人でその坂を歩いていると、死者に会うことがあるそうですよ。
今回紹介するのはこちらです。
『よもつひらさか』著:今邑彩
ミステリー&ホラー短編集です。
全部で12編あるので、全ては書ききれませんが、いくつか紹介します。
「ささやく鏡」
祖母の遺品である古い鏡。
一人しか主人を持たないという、不思議な鏡。
わたしが自分の顔を映してみると、鏡の中のわたしは今のわたしとは異なる姿をしていた。
そのわたしは一体何者?
「家に着くまで」
帰宅するのにタクシーに乗ったら、運転手さんのおしゃべりが止まらない。
嫌々付き合っていると、その話題は以前起きた事件のことへ。
事故なのか、殺人なのか。話がすすむうちにある疑惑が浮かび上がる。
「遠い窓」
パパと一緒に、新しい家に引っ越してきた私。
部屋の壁にかかった油絵が、1番のお気に入り。
ある日、絵の中の閉じていた窓が、1つだけ開いていることに気がついて…。
「よもつひらさか」
タイトルにもなっている作品。
初孫に会うため、小さな田舎町を訪れた主人公。
長旅に疲れているのを、手助けしてくれた青年から、ある言い伝えを聞く。
それは、死者に会うことがある坂の話。
ヒィッとなるものから、しんみりするもの、ファンタジーっぽいものなど、それぞれ雰囲気が異なる作品が楽しめます。
【私の勝手なセールストーク】
全体的に薄暗いイメージが漂う作品です。
この、夕暮れっぽい薄暗さが、今邑さんの持ち味だと思います。どんよりでも、暗闇でも、じめじめでも、霧でも靄でもなくて、夕暮れ。
1回読んだあとに、また読みたくなる魅力があります。
実際、私も初めて図書館で読んだ後、思い出して気になって気になって、購入しちゃいました。
短編集ですが、1冊のボリュームがあります。
ホラーもありますが、グロテスクではないので、そういうのが苦手な人にもオススメです。
価格:803円 |
【グーペ】デザインを4000パターン以上から選べるHP作成サービス