嘘のない言葉の持つ力
言ってること、やってること、とにかくメチャクチャなのに、こんなにも人の心をつかむ。
今回紹介するのはこちらです。
『チルドレン』著:伊坂幸太郎
短編の連作なのですが、全部で1つの長編作品になっています。
陣内、という人物を中心として、物語は展開していきます。
彼は、自分のやりたいときに、自分のやりたいように発言・行動する人です。自分勝手といえばそうなのですが、なぜか憎めない。
かかわると面倒臭いことになりそうだという予感がありつつも、周囲の人たちは彼のペースに巻き込まれていきます。
その結果、よくある日常、よくある事件が、なんだか謎めいた様相を帯びてきて・・・。
彼の20代の話が3話、30代の話が2話の、全5話です。
毎回予想外の結末に、ニヤニヤしちゃうこと間違いなし。また、10年間で陣内がどのように成長したのか、そんな視点で見てもおもしろいです。
【私の勝手なセールストーク】
主人公以外の登場人物も個性が際立っていて魅力的。詳しくプロフィールが書いてあるわけではないのに、その人が想像できちゃうんですよね。
読み終わっちゃうと、もう一度会いたいなと寂しくなっちゃうくらいに。
伊坂さんの作品って、「憎らしくてしかたないやつ」とか、「ゾッとするほど嫌なやつ」とか、出てこないのがいいです。
いや、出てきているのですが(おそらく)、一方向の視点だけで書いていないから、そう見えないだけかもしれません。どこか俯瞰的に見ているような雰囲気を、度々受けるので。感情がフラットというか。
ミステリー要素もありますが、なんだか癒し系です。内容にも文章にも毒がないからでしょうか。
疲れてるときの、ほっと一息読書タイムにオススメです。
チルドレン 講談社文庫 / 伊坂幸太郎 イサカコウタロウ 【文庫】 価格:726円 |
【グーペ】デザインを4000パターン以上から選べるHP作成サービス