日々読チョイス

好きな本をメインに、ゲームアプリ、スイーツなど、オススメしたいものを紹介していきます。

日々読は見ている

何を見てんだよ、と(笑)
なんだか、予言者のようなタイトルになってしまいました。もっと上手い書き方があったのだろうけれど、私にはこれが限界でした。

で、何を見てるかというと、映像です。
日々読は、本を読んでいるとき、映像を見ています。作品によって、映画だったり、写真だったり、イラストだったり。
他の人もそうだと思っていたら、意外に誰からも同意を得られたことがないので、ここに書いてみようと思います。



「作品にどれだけ入り込めたか」が、どんな映像になるかのポイントのようです。
ものすごく入り込んでしまうと、映画を見ているような感じになります。映画の中に入ってる、と言ったほうが正しいかもしれません。本で読んでいる内容が、そのまま目の前で動き出すのです。
読み終わると、その世界から急に抜け出して現実に戻るので、驚くことがあります。ホラー系だと、暗い世界にいることが多いので、読み終わって周りが明るいのに気づいて、驚くやらホッとするやら。
グロいのは見えるとキツイです。脂汗かいちゃう。綺麗なのや温かいのはいいです。美しすぎて涙がでたりね。その映像を忘れたくなくて買った本もあります。

だから、基本は家で読書します。外だと何かと危険なので。できたら、1人で静かに読みたいです。入り込んでるときに、誰かに肩ポンポンとかされたら、ものすごくビックリして、なんだか腹がたちます。完全なる逆恨みです(笑)。読書中、触るな危険。エサはあげても大丈夫。そっと置いてくれたらとても嬉しい(笑)。

作品によっては、挿し絵を見ているかのように、時々場面が見えることや、一部分だけ映像になることがあります。その部分の文章に、引き込む力があったんでしょうか。イラストの時もあります。ファンタジー系に多い印象です。
読んだことのある本が映像化された際、自分の映像とあってない場合見る気が失せてしまい、逆にぴったりだと見てみたいと思います。実際に見て、(あれ?これ前に見たことある?)と思ってしまうくらい、風景や建物が一緒で、驚いたこともあります。
同じイメージを抱いていた人がいるなんて、不思議ですね。
私が気づいた、映像が見える作品の共通点。それは、食べ物が美味しそうなこと。
食べ物が出てきた場合、必ずといっていいほど美味しそうなのです。それくらい文章で表現できる方だから、作品に引き込まれてしまうのだろうと思っています。


このブログに紹介している作品は、全てどこかしら映像が見えたものです。面白かった本は映像が見えるので。イマイチ興味が持てなかった本は、映像がいっさい見えなかったり、断片的でハッキリしなかったりします。
なので、本のオススメ発言の中で、こんな風に見えた的な事が書いてあっても、変な人扱いしないでくれると嬉しいです。



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静かな叫び

大切なものを失うということは、どういうことなのか。


今回紹介するのはこちらです。
『慟哭』著:貫井徳郎


連続幼女誘拐事件が発生。警察の懸命の捜査にも関わらず、解決の糸口さえ掴めない状況が続いていた。そのストレスや批判は捜査一課長の佐伯警視に向けられていく。仕事でもプライベートでも追い詰められていくなか、新たな事件が発生する。


痛ましい事件、噛み合わない人間関係、嫉妬や偏見。物語がすすむにつれて、徐々に濃くなる重苦しい空気。そんな連続幼女誘拐事件の話と平行して、なんだか怪しげな宗教団体の話が書かれています。
そちらは不安になる明るさがあり、重苦しい本編と交互に展開することで、よいリズムで読み進めていけます。この2つの話はどう関係してくのでしょうか。事件は解決するのでしょうか。



【私の勝手なセールストーク
事件についてというよりも、事件の周りで起きていることや、佐伯という人間について書いている作品です。警察小説とは違います。
1度めよりも、2度め3度めに読んだ時の方が、より深く読めた気がします。苦しみや痛みを一緒に体験しているような、そんな気持ちになりました。途中から、ずっと誰かの慟哭を聞いているような。辛い。とても辛い。
大切なものを失うということはこういうことだ。心の穴は埋められない。支えてくれる何か、引き留めてくれる何かが必要だ。でもそれが何かはわからない。そもそも存在するのかも。

少し読みづらく感じる方もいるかもしれません。でも、だからこそこの重い主題が生きていて、全体に悲壮感をまとえているのだと思います。
貫井さんの作品は、重い方が好きです。軽いタッチの作品も読んだことがありますが、私は違和感を感じてしまい苦手でした。重い作品は、何度も読むにつれて染み込んでくる、そんな感じがします。
さらっと流すともったいないので、じっくりと考えられる時間に読んでほしいです。

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赤い瞳に映るもの

普通の人にはない特殊な力は、なんのために存在するのだろうか。


今回紹介するのはこちらです。
心霊探偵八雲』著:神永学


いつだったか、男性が好きな主人公にランクインしていたのが気になって、読んだ作品です。

幽霊がらみの話なら、斉藤八雲に相談してみるといい。そう勧められて、小沢晴香は八雲のいる映画同好会を訪れます。彼は死者の魂を見ることのできる力をもっていました。ただ、性格にちょっと問題があるようで…。


死者の魂が見えることで、明らかになる事件の存在、真相。本来なら自分と全然関係なく、知らなくてよかったことかもしれません。しかし、知ってしまった八雲と晴香は、事件を解決しようと奮闘します。その行動が犯人を刺激し、さらなる事件に巻き込まれたり、他の死者の魂に助けられたり…。生きている人間と死んでいる人間、それぞれの思いが2人に突きつけられます。
次々起こる新展開にハラハラドキドキ。
八雲の、晴香や周りの人々への不器用な対応に、ヤキモキホッコリ。
ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても楽しめます。



【私の勝手なセールストーク
とにかくはまってシリーズ全部読みました。登場人物も話も気に入って。なによりも良いと思ったのが、八雲が「死者の魂を見ることしかできない」ところです。
よく霊が見える系の話はありますが、多くは主人公が霊と戦って除霊したり封印したり、何かしら力を持っています。でも八雲は見えるだけ。会話できるだけ。八雲は、死んだ人間も生きている人間と同じように関わることができるという、普通(ではないけど)の人なんです。そこが物語をより面白くさせてると思います。

幽霊苦手な方も大丈夫です。霊的な描写もおどろおどろしくないですし、むしろ幽霊が怖くなくなるかもしれません。私はそうでした。
これを読んで、八雲の謎が知りたくなった方と、八雲の成長を見守りたい(笑)と思った方は、2巻を手にとってくださいね。

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お父さんごっこ

この契約が、絆に変わって、いつまでも続くことを願う。


今回紹介するのはこちらです。
ステップファザー・ステップ』著:宮部みゆき


宮部さんの作品のなかで、ダントツに好きです。
ドラマにもなりましたね。連作短編です。

プロの泥棒が仕事中に、運悪く雷に打たれて落下。それを助けてくれたのは、双子の兄弟、直と哲。
2人は笑顔で良い子で、泥棒に自分達の面倒をみるよう脅迫します。
「僕ら二人くらい、面倒みられない?」
「またムショに入るの、イヤじゃない?」
かくして兄弟と『お父さん』、3人の生活が始まります。


とにかく3人の掛け合いが、軽快でユーモラス。双子の中学生に、翻弄される大人の姿に、ニヤニヤしちゃいます。
話はミステリー形式で、日常のちょっとした謎から、さらなる謎へと展開していきます。その結末に、泥棒&双子という特色が、上手くつながっていて、警察や探偵ものとは一味違う面白さです。
また、契約の手前、嫌々『お父さん』の役割をはたしていくのですが、交流がすすむにつれ、着実にステップファザーのステップを登っていってしまう。その様子がとても面白くて、なんだかホッコリ。
ハラハラドキドキしないミステリー、読んでみませんか?



【私の勝手なセールストーク
とにかく出てくるキャラクターが好きです。主役3人以外もよいのです。なんだか幸せ気分になるミステリーです。
余談ですが、ドラマでは上川隆也さんが『お父さん』を演じていて、ドンピシャだと思いました。

泥棒って悪いことなんですけど、この人はなんだか憎めない泥棒なんですよ。いや、悪いことなんですけどね。だからバチが当たって『お父さん』にされちゃったりするんですけどね(笑)。善人でも悪人でもない、絶妙な感じ。
絶妙といえば、双子が中学生っていう設定も絶妙です。小学生でも、高校生でも、この話は成り立たなかったんじゃないかなぁと思います。

宮部さんは、ホントに様々なトーンの小説を書く方だなと思います。宮部さんらしい、というのが、どういうものを示すのか、私はわかりません(笑)。それくらいバラエティーが豊富な気がします(まだ全作品読んでないので、間違ってるかもしれません)。
確信を持って言えるのは、これは面白いので読んでほしい、ということです。

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守りたいものは

奪われた者にも、奪ったものにも、等しく未来はやってくる。それまで描いていたものと、全く異なる未来が。


今回紹介するのはこちらです。
『天使のナイフ』著:薬丸岳


少年法。ニュースでも度々とりあげられるこの法律について、否定でも肯定でもなくありのままの姿を描き、深く考えさせてくれる作品です。

主人公の桧山貴志は、妻を殺され、残された一人娘と懸命に生きています。当事、妻を殺害した犯人は、3人とも13歳の少年だったため、刑事責任能力なしとされ、罪に問われることはありませんでした。
あれから4年が経ち、犯人の1人が殺され、桧山は関与を疑われます。彼はなぜ殺されたのか。どのように生きていたのか。桧山は真実を求めて調べ始めます。


贖罪とはなんだろう。更正とはなんだろう。
本当に難しいテーマですが、堅苦しい小説ではありません。ミステリーとしてとても面白いので、苦手意識を持たずに読んでほしいです。
加害者の姿、被害者の姿が丁寧に描かれており、しかしその事で中弛みすることはなく、新たな謎、新たな真実と、テンポよく進むので、一気に読んでしまいました。

過去から現在までの事件と、それぞれに関わる人々の思い。全てが繋がったときに、なんともいえない真実が明らかになります。



【私の勝手なセールストーク
まさに私のモヤモヤポイントを、描いてくれました。
少年事件ニュースを見るたび思ってたこと。
なぜ被害者は実名報道で、マスコミにさらされているのに、加害者は法律に守られて平穏に暮らし、将来は何食わぬ顔で社会に出ていくのか。
正しい、間違っている、ではなく、どうするべきなのかを考えさせてくれる作品でした。

犯罪の恐ろしいところは、事件そのものが解決しても全てがゼロになるのではなく、憎しみや罪悪感など、負の感情の連鎖を産み出してしまうことなのかもしれません。

この作品は、被害者と加害者の傷を癒すためにできる、1つの答えを示してくれました。
とても辛い苦しいことも描かれています。悲しいことも。やりきれないことも。でも、最後に少しだけ見えた光によって、なんだか救われる気持ちになりました。
難しいことは考えなくていいです。ただ読んで、そのまま感じてみてほしいです。

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感想(31件)


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日々読はあるあると言ってほしい

読書。至福。
そんな私の読書あるあるを書きたいと思います。
誰か共感しておくれ。



○本屋があれば大丈夫
待ち合わせに遅れるって?大丈夫待ってるから。
好きな作家さんの本探して、新刊見て、面白そうな本探して、これはと思うものは買うことにして。
1~2時間余裕で過ぎる。

○幸せの準備
居心地のよい場所で、居心地のよい室温で。お茶とかお菓子とか用意しちゃって。必要になりそうなものは手の届く範囲に置いて。さぁ、読もう。

○本は宝
不慮の事故でページが折れたり、汚れたりするとヘコむ。とてもとてもヘコむ。
あぁ~っごめんね…。なんでこんなことに…。
泣きたい。

○ペットホイホイ
あれ、なんででしょう。読書中ってアルファ波が出てるの?猫2匹と暮らしてるのですが、読書始めるとよってくる。実家の犬もそう。机の上に乗る、膝に乗る、本パシパシする、腕ガシッとする。
抱っこして、邪魔にならないようなポジションに誘導して、読書再開。
重さで足痺れるし、動けないし・・・でも可愛いから許しちゃう。

○取り扱い注意
今読書中です。話しかけないでください。
エサを与える場合は、そっと目の前に置いておきましょう。食べてくれるかも。
いいところで邪魔するとキレる可能性があります。
怖い話を読んでいる場合はビビるので、肩ポンポンとかホントやめて。

○安全確認
怖い話読んだあとは必須。ドアとか引き出しとか開けちゃう。何もいないよね。いたら困る。でも、いるかいないかわからないのが1番怖い。

○あれ、なんか部屋暗くない?
いつの間にか日が暮れました。

○続きが気になりすぎて止められない
今夜は徹夜が決定いたしました。




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彼らの見ている世界

不思議な力をもつ人達がいる。彼らの見ている世界は、私達と同じだけど、少し広い。


今回紹介するのはこちらです。
『光の帝国~常野物語~』著:恩田陸


「常野」からきた、不思議な力をもつ人々についての、連作短編です。
常野というのは、一族の総称であり、特異な能力をもち、極めて温厚な礼節を重んじる一族だといいます。権力を持たず、群れず、地に溶け込んで生きる主義だと。
能力も様々で、とても長生きだったり、遠くで起きた事がわかったり、未来が見えたり。
普通の人として生きているけれども、力を持っていることで、見えてしまう世界がある。その世界を、彼らはどう思っているのでしょうか。その世界で、何を感じているのでしょうか。


常野の人々が穏やかだからか、話自体もなんだか穏やかな雰囲気です・・・が、ほのぼのというわけではありません。なんだか優しくて、なんだか哀しくて、なんだか恐ろしい。
いろいろな能力と、その力によってに引き起こされるエピソードが書かれていて、それ自体が面白いのはもちろん、謎が明らかにされていくミステリー要素もあり、目が離せません。

1話完結というよりは、日常の一部を切り取った感じの短編なので謎のままの部分もあり、人によってはスッキリしない方もいると思います。でも、だからこそ、読み終わったあとも、不思議な物語の余韻が続きます。むしろ続きを想像しちゃうくらい、世界に引き込まれてしまいますよ。



【私の勝手なセールストーク
なによりこの独特な世界観。恩田さんの作品はこの世界観がオススメだと思っています。ハマる人はハマります。人によっては「意味がよくわからない」らしい(恩田さんの作品をすすめた何人かに言われました)。でも1度読んでみてほしい!私はハマりました。
個人的な話なのですが、私の見る夢の世界とおんなじ空気を感じます。上手く説明できないのですが(笑)、夢の中で、私が感じている気持ちに近いものを、恩田さんの小説を読んでると感じます。不思議な世界を造り出せる方ですね。

光の帝国には、収録されている短編の続編があります。タイトルの後ろに「常野物語」と書いてあるのがそうで、すぐわかります。気に入ったかたはぜひ読んでみてください。残ったままの謎が明らかになりますよ。

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感想(34件)


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